三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
俺達の席からそう遠くない席で
サラリーマン二人組を挟み
二人のキャバクラ嬢が
睨み合っているのが見える。
赤茶色の髪をアップにした
ピンクのドレスを着たキャバクラ嬢が
何かを喚きながら立ち上がる。
「まぁまぁ、
落ち着いてよ小春ちゃん。
まだリリーちゃんは
新人さんなんでしょ?」
サラリーマンの一人が
立ち上がったキャバクラ嬢をなだめた。
リリーと呼ばれた、
喧嘩相手の女は金髪を肩に流し
黒いドレスをまとって
落ち着いた雰囲気のあるキャバクラ嬢だ。
「お客さんがいいなら、
別にいいんでしょ?」
リリーは胸元から煙草を出し
口に銜えると
小春という源氏名の女を睨む。
「だからってね、
接客態度っていうのがあるでしょ!」