危険な愛に侵されて。
「今まで何回抱かれた?」
「……は?」
不機嫌な声が耳に届き、思わず顔を上げると雪夜自身も機嫌の悪そうな表情をしていた。
今の一瞬でいったい何があったのだ。
不機嫌になる要素なんてなかったはず。
「な、なんで怒って…」
「怒ってねぇから答えろ」
いや、どの口が言うんだ。
明らかに怒っているではないか。
不機嫌な彼に圧倒されながらも、素直に答える。
「そんなのいちいち覚えてない。
あんただって何人としたかなんて覚えてないでしょ」
「……やっぱ抱く」
「え?」
「今日の夜、お前覚えとけよ」
その言葉を最後に雪夜は先に部屋を出てしまい。
ぽつんとひとり、残された。
やっぱり抱く…?
そんなの困るに決まっている。
この怪我でこの間みたいにされたら、それこそ怪我が悪化するではないか。
やっぱり雪夜という人物はわからない。
結局彼が何をしたかったのかわからないまま、私も部屋を後にし急いで雪夜の後ろを追った。