危険な愛に侵されて。
曖昧
「……ん…」
ゆっくりと目を開けると、見慣れない天井が視界に入り慌てて起き上がった。
「いたっ…」
その時に怪我をした部分が痛み、そこでまた昨日のことが思い出される。
男に襲われそうになったところを雪夜に助けられ、彼の住む家に来たのだ。
隣を見ると、和服姿で気持ち良さそうに眠る雪夜の姿。
昨日、結局抱かれはしなかったけれど。
私の体をこれでもかというくらい弄んで来た雪夜。
本当に最悪だ。
私ばかり乱されて、本人は反応を楽しんでいただけだから。
「……寝顔はかわいいのに」
今日は休みのため、そこまで早く起きなくても大丈夫なのだけれど。
初めて見る雪夜の寝顔はギャップがありかわいくて、目が冴えた私はそんな彼をじっと見つめた。
「あどけない」
頬を突っついてやるけれど、一向に起きる気配がない。
どうやら完全に夢の中らしい。
仮にも雪夜の命を狙った私を前に、こんなにも無防備な姿を見せるだなんてバカな人。
「……今なら殺れるのになぁ」
もちろん彼が犯人でないとわかった今、そんな気持ちはまったく湧かないけれど。