危険な愛に侵されて。



「何か夢とか見てなかったの?」

どちらかといえば“怖い”と思わせるような夢。


「夢?覚えてねぇ」

相変わらず不機嫌な声を出す雪夜。
もちろん私を抱きしめたまま。


「じゃあ見たかもしれないってこと…?」
「さあな。夢って基本覚えてねぇんだろ」

「そうだけど…」
「人の睡眠邪魔しやがって」

「そ、それはごめん…」


だってなんだか怖そうな夢を見ていたように思えたから。

けれど誤解だったのなら私が悪いため、素直に謝る。



「ん、許す。だからまだこのままな」
「え…」

「俺が満足するまでこのまま」


不機嫌な声がいつの間にか甘え声へと変わる。


「べ、別にいいけど…」


今日は家に帰る以外に用がないため、ゆっくりしても構わない。

宿題などは明日の休みを使ってやればいいし。


「あー、久しぶりによく寝てた」

私が了承すると、雪夜が手の力を緩めた。
どうやら抵抗をしないと優しく扱ってくれるらしい。

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