危険な愛に侵されて。
朝のことがあってか、その日はずっと不機嫌だった。
「静音ちゃん…?何かあったの?」
「ううん、別になんでもない」
休み時間に心配して私の元へ来てくれた鈴。
それなのに私はなんでもないと言いながら、素っ気ない態度を取ってしまう。
そのため余計に鈴を不安にさせてしまい。
「静音ちゃん、元気ないよ」
「元気はあるよ。ただ腹が立ってるだけ」
「へ…それって、私に……?」
なんということだろうか。
鈴が誤解してしまい、途端に目を潤ませ泣きそうになる。
「ち、違うよ!鈴じゃない、絶対鈴じゃないから泣かないで」
「ふぇ…ごめんなさい静音ちゃん」
「謝らないで、本当に鈴じゃないから!ね?」
慌てて笑顔を浮かべ、鈴の頭を撫でる。
それで安心したのか、ようやく涙をおさめてくれた。
「ほんと…?」
「本当だよ!
ごめんね、機嫌とか全然悪くないから!」
雪夜と祐樹に対して苛立っていたというのに、鈴を泣かせるだなんて最低である。