危険な愛に侵されて。



結局鈴を宥めたところで休み時間が終わってしまった。


「お前って本当馬鹿だよな」
「……っ、何よ」

一部始終を見ていた雪夜が、私を見て笑ってきた。

本当に腹が立つ。
この原因は雪夜だというのに。


「クラスで人気者の御園さんは、苛立ちが顔にでるような人間じゃねぇのにな?」


ああ、腹が立つ。

その馬鹿にしたような笑みがより一層私を腹立たせるのだ。


「うるさい」
「何そんな怒ってんだよ」

「あんたたちが隠し事するからでしょ」
「……隠し事ってなんだよ」


わかってるくせにしらばっくれる雪夜。
それほどに知られたくないのだろうか。

はっきり言ってくれないとわからない。
私の考えが正しいのかどうか。


つまり自分の中でふたりが隠している“昔”のことに対して、大体想像がついているのだ。


ただ絶対合っているという保証はない。

もし私の考えが正しければ、雪夜に聞きたいことがたくさんある。


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