危険な愛に侵されて。
結局雪夜が一歩前を歩き、電車へと乗り込む。
「ねぇ、どこ行くの?」
「行けばわかる」
どこか少年のような、ワクワクした表情をする彼。
別に何か企んでいる様子はないため大人しくついていけば───
「……っ、うわぁ…!」
ふわふわした白い毛の猫が私たちを見るなり『みゃー』と鳴いた。
「雪夜、見て!猫が…!」
思わず雪夜の袖を掴む。
彼に連れてこられたのはなんと猫カフェで。
「嬉しそうだな」
「だって小さい頃からの夢だったから…!」
小さい頃から両親に『猫を飼いたい』『猫カフェに行きたい』と頼んでいたけれど、なんとふたりとも猫アレルギーのため猫に触れる機会がなく。
夢のまた夢になっていた。
両親が亡くなってからは復讐というものに目が眩み、猫に触れたいと思う気持ちすら無くなっていたけれど。
いざ目の前に猫がいると、その気持ちを思い出さずにはいられなかった。