危険な愛に侵されて。
「なんで?雪夜も猫好きなの?」
「まあそんな感じ」
「何これかわいい…っ、ほら見てよ雪夜」
私たちを出迎えてくれた白い猫を抱き上げ、雪夜に見せる。
思わず頬が緩み、今の私はだらしない顔であることだろう。
「……っ」
「雪夜?」
けれど雪夜は私から顔を背けてしまう。
その頬はほんのり赤くなっているようにも見える。
「何、猫がかわいすぎて照れてるの?
その気持ちもわからなくないけど」
「みゃー」
ああ、鳴き声からすでにかわいい。
こんなのデレデレになるに決まっている。
「本当にかわいいなぁ」
「……夢叶ってよかったな」
「んー?何か言った?」
「昔から猫が好きだってうるさかったからな」
ドクンと、心臓が大きな音を立てた。
雪夜は今なんて言った?
「……あっ」
深く考えようとしたら、雪夜が私の抱いている猫を奪ってきた。
「すっげぇふわふわしてんのな」
「と、盗らないでよ」
いきなり猫を奪ってきたため、深く考えることをやめた私。
それからも時間が許す限り猫と戯れていたけれど───
『昔から猫が好きだってうるさかったからな』
その間も少しずつ、確信に近づいていた。