危険な愛に侵されて。
「……御園さん?」
「は、はい…!」
ドクドクと脈打つ音が速くなる中、名前を呼ばれてハッと我に返る。
「す、すみません…失礼します」
慌ててテーブルを挟み、男の人と向かい合って座った。
「えー、改めまして雪夜の父親の俊二です。まあ一応ここでは本部長の職に就いてる…けど、それはどうでもいいか」
私にも男の人───俊二さんの緊張が伝わってくる。
普通緊張するのは私のほうであるのに、俊二さんが緊張するものだから自然と肩の力が抜けた。
「実はここ一ヶ月以上、この家に戻っていなくてね。涼雅から度々話は聞いていたが、いやー君たちすごい再会の仕方だったんだね」
「……え」
ドクンと心臓が大きな音を立て、嫌な汗が流れる。
確かに今、俊二さんは“再会”という言葉を使った。
「本当に驚いたよ。“過去の幼なじみに殺されかけた”って聞いた時はお前何したんだって」
自然と目を見開き、咄嗟に手で口元を覆う。
───まさかこんな形で真実を知るとは思っていなかった。