危険な愛に侵されて。



「そんなはずは……だって、私の両親がすずくんをかくまった時───」

「俺は良いように騙されてた」
「……え」

「それに気づかない俺は相当バカな人間だな」


見ている私まで胸が苦しくなるような、そんな切なげな表情をする俊二さん。

相当悔いているのがわかる。



それから同時にすずくんは、私たちの元から去った後も───

“暴力”という地獄から抜け出せずにいたということが理解できた。


「どう、して…」

「迎えに行った日の前日、妻だった相手に言われたんだ。“涼雅を叱って怖がらせてしまった、どうしよう”って。

話を聞けば少し叱りすぎて涼雅が怖がり、近所の人の家に逃げたらしいと。だからあの日、俺も一緒に迎えに行ったけど……違った。もっと君の両親にも話を聞くべきだった」


どうやらすずくんのお母さんは頭がキレる人のようで、良いように俊二さんを利用し虐待していた事実を隠したのだ。

私たち家族の前でも頭を下げ、反省しているようなそぶりを見せながら───

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