危険な愛に侵されて。



飛び交う怒鳴り声に悲痛な叫び。
リビングに行けば辺りに血が飛び散っており。

殴られ、蹴られ。
首を絞められた痕だけでなく、全身ずぶ濡れ状態。


そんな姿を初めて目の当たりにした俊二さんはいったいどんな気持ちだったのだろう。

ずっとすずくんは、雪夜は───


目の前の恐怖に怯えながら毎日過ごしていたんだ。



「その日から涼雅は変わってしまったよ。
こっちの世界にやってきたんだ。

おそらく拓哉さんの誘いもあったと思うが、息子も俺と同じ組の一員になった」


寂しそうな瞳をする俊二さん。
きっと過去を思い返しているのだろう。


「特に女絡みの問題は多かったな。
ぞんざいに扱って、何十人も泣かせて。

まだ高校生の子供だっていうのに、大人がやるような危険なことばかりする」


初めて雪夜と会った……いや、再会した日のことを思い出す。

何人もの女に囲まれていた雪夜は圧倒的な存在感を放っていた。

< 236 / 370 >

この作品をシェア

pagetop