危険な愛に侵されて。



女の扱いにも慣れていたし、その上抱かれた次の日に目が覚めるといなくなっていたのだから雑に扱われたと言えるかもしれない。


けれど───


『怖い』
目を閉じ眠りにつきながら、ぼそっと雪夜が呟いた言葉。

きっと本音なのだろうと思う。



まだまだ子供なのだ。
現在も過去に囚われ、恐怖から解放されていない。


「でも君とまた会ってからね、涼雅は変わったよ。
それほど君の存在は涼雅にとって大きいようだ」

「……っ」


覚えていなかったのに?
殺そうとしたのに?

雪夜に憎しみの感情をぶつけていた私の存在が、大きいというの?


「でも私っ…」
「あの状況下で冷静にいられるわけがないよ」

「……え」
「君の両親は白だ」


“両親”という言葉にドクンと心臓が大きな音を立てる。


「罪を犯したなどの記録はまったくないし、闇に関わってもいない。それなのに狙われた。

俺たち神田組は全精力をあげて犯人を見つける。
このまま野放しにしておけない」


ふとオーラが変わった。
ゾクッと体が震えるほどの恐怖心を覚える。

ああ、この人もれっきとした組の人間なのだ。

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