危険な愛に侵されて。



「いえ、神田組に迷惑をかけるわけには…」
「俺と涼雅がそうしたいんだ」

「え…」

「君の力になりたい。罪のない人間に手をかける犯人を、必ず見つけて捕らえるよ」



力強くまっすぐな眼差し。

ひとりでは何もできないとわかっていた。
秋崎さんの力がないと、自分が無能であるということを。


けれど、どこか過信している自分がいたのかもしれない───



「今、涼雅は犯人の行方を追っている。
あそこまで必死になるのも驚きだな」


どこか嬉しそうな表情。

コロコロ変わる俊二さんの表情は、雪夜と重なる部分が多い。


「どうして、そこまで…」

そこまでしてくれるのだろう。
私は雪夜に何かした覚えなどない。


むしろ殺そうとしたぐらいだ。


「言っただろう?涼雅の中で君の存在は大きい。
何よりあの頃の涼雅は何度も君に救われていたんだ」



俊二さんはそう言って、穏やかな笑みを浮かべた。

< 238 / 370 >

この作品をシェア

pagetop