危険な愛に侵されて。
怒り
それから間もなくして、冬休みに突入したある日。
「ねぇ、いつになったら家に帰れるの」
「そのうち」
「そのうちって、はっきりした数字言ってくれないとわからないじゃない!」
けれど私は雪夜と一緒の部屋で冬休みを過ごすことになっていて。
不満を口にしていた。
もちろん雪夜が“すずくん”だということはわかっていたけれど、気づいていないフリをする。
その一番の理由は、雪夜自身が何も言わないからだ。
におわせはするけれど、何も言わない。
どちらかといえば隠そうとしていた。
そのため私も見て見ぬふりをして、いつもの調子で雪夜と関わっていた。
それにしても本当に、いつまで雪夜と一緒に住まわされるのだろうか。
正直雪夜と一緒にいてもいいと思っている自分もいる。
けれどそれ以上に私は───
「ねぇ、何か答えたらどう?
あと抱きつくのもやめて!」
先ほどからずっと後ろから私に抱きついてくる雪夜。
今日は冬休みの宿題をすることになっていて、一階にある和室に来ていた。
そこには大きなテーブルがあり、勉強するのに適しているのだ。