危険な愛に侵されて。



周りの視線を辿れば、やはり神田と未央ちゃんの姿があった。

圧倒的な存在感を放つ神田と、ふわりと優しい雰囲気を纏う未央ちゃん。


ふたりは住んでいる世界が違うように思えるけれど、実は繋がっているのだ。



少し緊張しているのか、頬を赤らめている未央ちゃんは俯き加減で。

一方神田はまったく緊張しておらず、相変わらず穏やかな表情をしていた。


しばらくは向こうも挨拶まわりがあるため、合流できそうにない。

一応こっちもまだ挨拶が残っているのだ。


「……疲れた」

ようやく挨拶を終えた頃には、どっと疲れが溜まっていた私。


「ほら、言っただろ」
「招待しすぎなのよここに」

「何回か交流しねぇと相手の様子がわからないからな」


どうやらこの定期的に開催されるパーティーが、裏切り者を作らないためのものらしい。

確かに定期的に交流しておけば、様子が変わった相手をすぐ見つけられることだろう。


それに相手は神田組の監視下にあるとも思わせられる。

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