危険な愛に侵されて。
「絶対にお金目当てだわ」
「……性格が悪そうね」
どこかのご令嬢なのだろうか。
派手なドレスを着ている女性3人組が、私を見ながらヒソヒソと悪口を言っていたのだ。
それもわざと聞こえるくらいのトーンで言うのだからタチが悪い。
まったく女の嫉妬は怖いし面倒くさい。
私は別に慣れているから平気だったけれど、未央ちゃんが不安だ。
きっとこの人たちのことだ、未央ちゃんに向かっても悪口を言うことだろう。
そのため今のうちに黙らせておいたほうがいいかな、と思った私は迷わず女たちに視線を向ける。
すると一瞬ビクッと肩を跳ねらせていたけれど、すぐにきつく睨んできた。
「……何よ、こっち見て」
どうやら強気に出ることを選んだらしい。
もし未央ちゃんにそんな睨んで泣かせていたら、一家全員神田によって潰されてしまうことだろう。
まだ私だから良かったものの、彼女の前でそんな姿を晒してはただのバカになってしまう。