危険な愛に侵されて。
「違うからな」
「……は?何が」
「色目使われたからお前に落ちたわけじゃねぇ」
「う、うん…?わかってるけど」
そんなのわかっている。
そもそも雪夜はあのパーティーの日、私に騙されたフリをして部屋まで誘ってきたのだ。
逆に私が騙されたわけで。
なぜいちいちそのことを掘り返してくるのだろうか。
「わかってねぇ」
「さっきから何?」
「……別に」
深く聞き返せば、途端に不機嫌になる雪夜。
今の彼は少しよくわからない。
なんで不機嫌になったのか、その理由を考えていると───
「静音ちゃん…!」
一通り挨拶を終えたのが、未央ちゃんと神田が私たちの元へとやってきた。
「未央ちゃん!」
ああ、なんてかわいい癒しだろう。
私に駆け寄ってくる彼女は本当に小動物のようでかわいすぎる。
「やっと挨拶終わったのか?」
「ごめんね、遅くなって。じゃあ行こうか」
神田が雪夜に謝ったかと思うと、突然こちらを向いた。
思わずビクッとして、構えてしまう。