危険な愛に侵されて。
「そんな構えないで?」
すぐ神田にもそれが伝わったらしく、眉を下げて苦笑された。
私だってわざとやっているわけではない。
本能的に危険を察知し、構えてしまうのだ。
「俺と涼雅はこれから前に出て、ひと言挨拶しないとといけないから未央とふたりでいてもらっていい?」
どうやら雪夜の言う通り、若頭の挨拶があるらしい。
そのため私は未央ちゃんのそばにいて、彼女を危険から守らないといけないのだ。
もちろん周りにはサングラスをかけた黒服の男たちがいて、危険がないよう見張ってくれているらしい。
確かに息苦しいなと思った。
ひとりでいる中でこんなにも視線を感じたらたまらない。
一応危険がないよう、守ってくれているのだろうけれど。
「神田くん、挨拶頑張ってね!」
未央ちゃんはふわりと優しい笑顔を浮かべ、神田を見送る。
彼はそんな未央ちゃんを見て嬉しそうに笑い、雪夜と一緒に会場の奥へと歩いて行った。