危険な愛に侵されて。
「あっ、そうだ!
静音ちゃんって甘いもの好き?」
「え…?うん、まあ好きかな」
突然振られた質問に驚きつつ、素直に答える。
スイーツなどの甘いものは好きなため肯定した。
「私も好きなの…!それでね、さっき美味しそうなケーキあったから取ってくるね!」
「え、あっ…」
私が止める前に未央ちゃんはにこにこと明るい笑顔を浮かべ、離れてしまった。
とはいえ数メートル離れた位置に置いてあるケーキを取りに行っただけなのだが。
これぐらい大丈夫だろうとは思いつつも、念のため未央ちゃんから視線を離さないでおく。
彼女がケーキをお皿に移している動作を目にしたその時───
突然ひとりの男が未央ちゃんに近づいていくのが見えた。
それも駆け足で。
即座に敵と判断した私は足を動かし、彼女の元へ向かう。
案の定男は後ろから未央ちゃんに触れようとしていたため───
「この子に何か用ですか?」
相手の手首を掴んで阻止し、あくまで冷静な声で話しかける。