危険な愛に侵されて。
「すぐ他の男に体差し出す尻軽な女が!そんな弱い心してるからいつまでも両親の仇とれねぇんだよ!」
ドクドクと、心臓の脈打つ音が速まる。
手先が震える。
やめて。
両親の話はしないで───
「昔からそういう単純な人間だから、両親も簡単に殺されたんじゃねぇの?ダセェな、お前」
「……るさい」
「無残な殺され方した両親が可哀想だなぁ!?」
「うるさい!黙れ!」
気づけばナイフを持つ手が動き。
相手の喉を切りつけようとしていたけれど。
突然誰かに手首を掴まれ、それを制された。
「……御園、落ち着け」
ひどく静かな声。
雪夜のものだ。
「離して!こいつは私が、黙らせっ……!」
「感情のままに動くな。
……おい、この男を捕らえろ」
私の肩に手をまわした雪夜は、グッと引き寄せてきて。
思わず泣きたくなったが、我慢して雪夜にしがみついた。
そして私を敵とみなしていた黒服の男たちが雪夜の言葉で動き、私をスルーして男を床に押さえつける。
「なあ、雪夜涼雅。いいこと教えてやろうかぁ?」
「…………」
男がまだ嬉しそうな笑みを浮かべているけれど。
雪夜はただ冷たくそいつを見おろすだけ。