危険な愛に侵されて。



それなのに男の嬉しそうな表情は変わらず。
まだ何かを企んでいそうで。


「そうだ、若頭の神田拓哉もいるんだよな!?
いいこと教えてやるからちゃんと聞けよ」


上からな発言。
周りが冷たい視線を向ける中、その男は話を続けた。



「その女は秋崎さんと繋がってる!俺たちは接触したことねぇ秋崎さんと、そいつは深い関わり持ってんだよ!

ここの組の裏切り者なんだろ!?その女が居場所を知ってるかもな!あははっ」


奇妙な笑い声に思わず眉をひそめたけれど───


「……は」

雪夜の驚いた声。



彼は冷たい表情からあっという間に驚いた表情へと変わる。



さらに周りを見渡せば、凍りついたような空気が会場内を漂わせており。

思わず身震いした。



「……っ、とりあえずそいつ捕らえて話聞き出せ。
御園、動けるか?」

「え……」
「行くぞ。もう戻る」


雪夜は私の腕を少し強引に引っ張り、足を進める中。



「───涼雅」

ゾッとするような冷たい声が背後から聞こえてきた。
それはこの会場にいる誰もが息を呑むほど。

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