危険な愛に侵されて。



それから神田組の本部である和風の家に車が停まり、私と雪夜は降りる。

いつもはふたりで部屋に向かうのだが、なぜか今回は宮木さんもついてきた。


「……そんなに信用ならねぇんだ?」

その様子が気に障ったらしく、不機嫌な声で宮木さんに言葉をぶつける雪夜。



「神田様のご命令ですので、従っているだけでございます」

「ここまでする意味だろ」


「……雪夜様、私は信じておりますよ」
「何がだ」



何故、だろう。

いつもと変わらない穏やかな表情に丁寧な口調である宮木さんだというのに。



少し怖いと思うのは───


「自分でも気づいておいででは?
今の雪夜様は私にも敵わぬほど弱くなっていると」



ゾクッと全身が震えた。
この人……宮木さんも危険な人だと。

神田や組長と同じにおいがする。
同じ系統の人だろう。


「何が言いたい」

「ああ、私が惚れ惚れしていた雪夜様は今目の前にはおりません。大変残念なことです。

たったひとりの女性と出会ったことにより、ここまで弱くなってしまうだなんて…」



いつにも増して話す宮木さん。
心なしかその目はキラキラと輝いているように見える。

怖い……神田組の人たちは未だに掴めない。

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