危険な愛に侵されて。
部屋に入れば一息つけるかと思ったけれど、気まずい沈黙が流れ。
逆に重苦しい状況へと変わった。
宮木さんの言葉が胸に響いたのか、口を閉じて何やら考える動作に入る雪夜。
「あの、ゆき…や」
「先、着替えてこい」
「え…」
「メイクも落とせ。今夜は長くなりそうだからな」
ため息をついたかと思うと、突然私の頭を撫でてきた。
「雪夜…?」
「悪い」
「……なんで、謝るの?」
「俺が神田くらい強かったら、今すぐお前連れて逃げだせたのに」
「……っ」
思わず目を見張る。
宮木さんの言う通りだった。
雪夜は───
私を逃がそうと考えてくれていたのだ。
「あんたは、悪くないでしょ…」
「悪い悪くないの問題じゃなくて、ただお前を守ってやりてぇと思ったから」
ふと、雪夜を纏う雰囲気が変わったかと思うと。
彼は突然部屋の隅にあるタンスへと移動した。
「雪夜?何して…」
「俺は戦うから」
「は…?」
「拓哉がお前に危害を加えるようなら俺だって容赦しねぇ」
ドクンと、心臓が大きな音を立てたかと思うと。
目の前の光景に対し、驚いた私は咄嗟に自分の口元を手で覆い隠す。