危険な愛に侵されて。



「それで、それで雪夜が命の危険にあっても良いんですか…!」

思わず言い返してしまう。
目の前の狂気に対して。


「……ああ、そのことでしたらご安心ください」



うっとりした表情から、安心させるような表情へと変わる。

いったい何が安心できるというのだ。


「“平穏に過ごし、誰も命の危険に晒さないこと”
これが組長命令でございますので、私は従順にお守り致します」



けれど宮木さんは相変わらず穏やかな表情で、丁寧に話す。

どうやら組長の命令が最優先らしい。



「そのため誰も死ぬようなことにならないよう、私としてもきちんと見張っておきます」

「死なないとわかっているから、あんなことを言ったんですか」


「もちろんそのつもりです」

「でも雪夜や神田がどう行動するかわからないじゃないですか」


宮木さんの言葉に刺激され、覚悟を決めた雪夜が拳銃を手にしたのだ。

タンスにしまってる武器。
簡単に人を殺めてしまう凶器だ。

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