危険な愛に侵されて。




「……殺したところで、殺せたところで。
それが“復讐できた”と言えるとは限らないなって」


自分でも不思議だ。
あんなにもこの手で奪ってやると思っていたのに。

殺せば終わり。
それでは解決しないような気がした。



「そうか」
「まあ、まだ行方すら掴めてないけどね」

苦笑してみせる。


私は秋崎さんの連絡先を神田に渡したけれど、結局居場所は掴めず。

その連絡先はすでに消されたということだった。


結局また振り出しに戻って。



「向こうだってこのまま終わるわけねぇだろうから。
必ず姿をあらわす」

「ここ最近、厳戒態勢らしいからね」


それもそうだ。

だって雪夜は、連絡が途絶えた3日間の間に秋崎さんの手下の人間と接触していたのだから。


その時に事実を聞いたらしい。
それも証拠となるものを添えられて。

その“証拠”とはなんだったのか、涼雅は教えてくれないけれど。

おそらくすぐ信じられるものだということはわかった。

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