危険な愛に侵されて。



「じゃあ着替えてくるね」

なるべく動揺していることがバレないよう、平静を装った。



「……別にここで着替えてもいいけどな?」
「ば、バカじゃないの…!変態」

ニヤリと笑う涼雅から逃げるようにして、一階の空き部屋へと向かった。


部屋に入るなり、中に誰もいないことを確認してもう一度スマホを確認する。



【神田組の敷地内を出たところに車で待っている。誰にもバレずに来るように。少し話をしよう】



誰からのメッセージなのか、わからなかったけれど。
“秋崎さん”からだということはすぐにわかった。

誰にもバレずに。


もしここで神田組の人たちに話せば、秋崎さんを捕らえられるチャンスかもしれない。

けれど───


秋崎さんは警戒する人だ。
すぐにバレることだろう。

そしたらどうだ、神田組の敷地外で銃の撃ち合いがあるかもしれない。


そしたら一般人の目に触れてしまう。

きっと秋崎さんはわざと“敷地内を出たところ”にいるのだろうと思った。


私がひとりで来るように。

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