危険な愛に侵されて。
純粋
それから一週間が経ったある日のこと。
「静!」
「……あ、祐樹。今日は珍しく早いんだ」
朝の電車で通学していると、途中で祐樹と鉢合わせたため一緒に学校へ行くことになった。
両親が生きてきた頃は家が近くて頻繁に会っていたけれど、今は別の土地でひとり暮らしをしているため、祐樹との関わりが極端に減った。
けれどここ一年は同じクラスになったのもあり、何かと仲良くやっている。
もちろん私はもう子供の頃みたいな純粋な気持ちで彼と接することはできないのだけれど。
いつも祐樹との間に壁を設けているつもりだ。
だって私と祐樹は住んでいる世界が違う───
「最近ちゃんと食べてるのか?」
「え?」
「なんかコンビニ弁当ばっか食ってそう」
「し、失礼ね!ちゃんと自炊してますよーだ」
私の心配をしてくれているのはわかるけれど、なるべく心配をかけさせたくないためいつもの調子で返す。
「ひとり暮らしって寂しくならねぇのか?
もしあれなら、たまには俺の家に飯食いにでも…」
「や、大丈夫。迷惑だろうし」
正直に言えば嫌なのだ。
キラキラしている家族の中にひとり、ぽつんと浮くのが目に見えているから。