恋の掟
入院生活は、非常に退屈なものだ。

しばらくの間は、歩けないから車椅子だし、ギブスの中の傷が痛痒い。

私の担当ナースは、ふくよかな中年看護師の樺山さん。

イケメン看護師君じゃなかったことに、ちょっとガッカリのような…ホッとしたような。
さりげなく樺山さんに尋ねたら…
『海君は、准看なのよ。まだまだ新米さん。将来、有望だけどね…。』

沖縄の島育ち。
中学を卒業してすぐに島を出て、看護学校に進学したらしい。

樺山さんは、聞かない事まで教えてくれる。
ふーん。島育ちかぁ。どーりで顔が濃いはずだわ。

廊下ですれ違う時に、軽く会釈してくる海くん。
人懐っこい笑顔を向けられると、なんだか無くした青春を取り戻したくなる。
あと10歳、若かったらなぁ。

猛烈に、恋がしたいと思った。
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