運命の恋~もしもあの時・・~
「おい、どうした?大丈夫か?」

田邉さんが駆け寄り割れたお皿を拾うけど泣いている事に気が付いてなさそうだった。
私はあまりにも夏川さんが悲しそうだったから動けず見入ってしまった。
そのまま立ち尽くしている夏川さんの目から流れた涙が床へと落ちていく。

「えっ?な、つ、かわ?どうしたんだ?」

「本当に、本当にわかんないの?忘れたの?10年も一緒にいたのに…やっと、やっと家族になれると思ったのに…」

夏川さん…田邉さんの相手って夏川さんの親しい人かなにかかな?
なんとなく私はここに居るべきではない気がする。

「夏川、何か知ってるのか?スイートテンの相手を…?」

夏川さんはものすごい剣幕で田邉さんの胸ぐらをつかみ引き上げる。
あんなでかい人を小柄な夏川さんでも持ち上げれるんだと変に感心してしまった…

「僕が何をしたの?本当は心のどこかで同性だってことが嫌で忘れたの?嫌なら嫌って言えばいいだろう!何で忘れるんだよ!」
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