運命の恋~もしもあの時・・~
車が出発し来た道を戻っていると少し寂しくなった…
はぁ、帰るとまたいつもの日常かぁ。
そう考えると心にぽっかり穴が空いたような気分になる。
楽しかったなぁ…
涙がこみ上げてくるから気づかれないように窓の外をひたすら眺めた。

「急におとなしくなったね。帰るのが寂しい?」

「うん、寂しい。」

つい正直に言ってしまった…

「どこからが浮気ですかね?私たちって別に付き合ってるわけではないし、ただ同じ時間を楽しく過ごしただけで何をしたわけでもないでしょう?と言うか稗田さんはやつれちゃった私を楽しませてくれただけですけど…あっ、手は繋いだけどそれだけでまたそれぞれの日常に帰って行く。これは私にとっては結構大きな出来事で…」

「そうだね。香織ちゃんが今日のことをどう捉えるかで違ってくるんじゃない?本当に俺が香織ちゃんを励ますために連れ出して今日は励まされたなぁって思うなら神田さんと出かけるのと同じで、もし香織ちゃんも今日のことをデートだと思うならそれは浮気かもね。デートはあくまでも好意を持った相手とするものだと思うから。」

知らず知らずのうちに涙が流れていた。
稗田さんは真っ直ぐ前を見て運転しながら左手で私の右頬の涙を拭う。
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