運命の恋~もしもあの時・・~
「そんな…おまえ…僕のせいだよな?」

旦那の手が震えていた。

「きっかけはあなたよ。でも自分で決めて起こした行動なの。私だけ隠すのは良くないと思うから伝えた。今度はあなたが考える番よ!これからどうする?どうしたい?家族として生きていくのにもお互いの努力が必要だし、別れるにしても歩みよってお互いに思い残すことのない方法を見つけていかないといけない。焦らずゆっくり。香澄もいることだし急いでもいいことないと思うから。」

ドンっ
旦那が震える拳でテーブルを叩く

「フッごめん、香織を責められる立場じゃないけど、その男に腹が立つ。そんなことした香織にも、そんなことさせた自分にも…」

しばらく沈黙が続いた…

「ごめん、今日はホテルにでも泊まるよ。少し頭を冷やす時間が欲しい。」

「うん…。」

旦那に正直に話したのは心のどこかで許されると思っていたからかもしれない…

旦那は仕事に出る準備をしたのかスーツに着替えて仕事カバンを持って出て行った。

はぁ~、何やってたんだろう?
稗田さんまで巻き込んで…
こんな時にまで稗田さんに会って抱きしめられたいとさえ思う…
もう嫌だ…こんな自分が…
涙が溢れて、溢れて、もうどうしようもなく、やりきれず、声を押し殺して泣いた。
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