運命の恋~もしもあの時・・~
隠してもらったからその隙にそろっと店を出る。
この人たちが大丈夫な人たちとはどこにも確証がないもの。
流されやすい私はすぐに信用してしまうから。

早足で逃げたのも虚しく身長に比例して足の長い田邉さんは軽々と私に追いついた。

「偶然だな、香織、さ、ん。俺ひろ、わかる?」

私の前にひょいっと来ると通せんぼう状態になる。

「田邉さんですよね!?覚えています。でもいきなり抱きついてきた恐い人ということで、です。」

私は顔を強ばらせていたけどあまりにも優しく微笑んでこちらを見るから思わず表情が緩んでしまった。

「うん…この前はごめん…あの後先輩に怒られたよ。警察行きを覚悟しろって。」

「怖かったけど、稗田さんが助けて下さったし、その後何もなかったので…」

警察に届けるという手もあったのか…
旦那にも相談していないし私ってダメだなぁ…

「香織ちゃんは危機感が薄いのかな?僕たちは助かったけど。」

稗田さんにまた後ろに立たれていた。
びっくりして振り向く。
あれ?これは囲まれている?

「あの、じゃあ警察に連絡します…」

そろっと横に移動しながらそう言うとまた稗田さんは笑いだした。

< 18 / 316 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop