運命の恋~もしもあの時・・~
「私こそ、夢みたいで実感もありません。まさか稗田さんが…他に可愛くてお似合いの子なんて沢山いるのに…理解出来ません。」

私は稗田さんの腕を抱きしめた。

「フフッ理解出来ません、か…困ったな。こんなにドキドキしてるのに…聞こえない?」

背中に神経を集中させてみると確かに稗田さんも私と同じくらいドキドキしている。

「はぁ、私どうしよう。こんなの困ります。これからどうしたいとか、お付き合いするつもりとか全くなかったんです。すごくキラキラした思い出としてしまっておくつもりだったのに。」

何故だかまた涙が溢れてきた。

「香織ちゃんって泣き虫だよね。俺のことしまっておいてひとりで頑張るつもりだったの?それとも誰かいい人探すつもりだったの?」

私は声も出ず、ただ頭を横に振った。
私は娘を立派に育てるために頑張って自立しようとしか考えてなかった。
再婚はしない=お付き合いもしないってどこかで思っていたから。

「私、娘がいます。その子にはパパもいて離婚はしましたけど娘からパパを奪うつもりはありません。うぅ、離れることで上手くやっていけると思っているので、ズズッ、今後も会って出かけたりもすると思います…う、うぅ…再婚とかも…」

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