運命の恋~もしもあの時・・~
「俺、子どもなんていなくても幸せだよ。香織、香織…」

「うん…わかったよ。きっと、私は想像しかできないけど田邉さんのその真っ直ぐな愛情を注がれてた私も幸せだったと思う。稗田さんの奥さんが少しうらやましかっただけなんだよ。」

私は田邉さんをぎゅーっと抱きしめた。
また田邉さんは声を殺して泣いていた。
少し泣いて落ち着いたのかむくっと起き上がると私にチュッとキスをしてヘヘッと笑っていた。

「もっ!フフッ、落ち着いた?頭は痛くない?」

「こんな組み敷かれた格好なのにそんな優しくしていいのか?襲うぞ。」

「う~ん、今の田邉さんはそんな事しないかな。浮気だもん!見た目は同じでも私はあなたの奥さんじゃないから。」

笑いながら軽く胸を押すと素直に私の横に倒れ込むように横になった。

「やられたな。香織の口から浮気って言われたらこれ以上は何にもできない…」

そう言いながら田邉さんも笑ってた。
私はベッドから下りて持ってきていたペットボトルの水を渡す。
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