運命の恋~もしもあの時・・~
「見た人がいるの。3か月ほど前からあなた達を見かけてたって。」

「な、何のことを言ってるの?風呂入ってくるよ。」

態度でバレバレなのに知らないふりをする旦那に言葉が出ない。
お風呂場へ逃げ込む旦那を見てこれからどう話し合っていくのか、そもそも自分はどうしたいのかわからなくなる。

さっきまでは漠然と謝られて許して元通りって思っていた気がする。

もしも私の旦那さんが田邉さんだったら…
結婚して12年って言ってたけどあんなに真っ直ぐ愛されるなんて。
いやいや、実際結婚してないから彼の妄想なんだろうけど…
ふと、そんな事を考えてしまっている自分に嫌悪感を抱く。

だってあんな浮気するような人でも結婚していなければ可愛い娘には会えなかったのだから。
私は罪悪感や嫌悪感、そして何より今後の不安に押しつぶされそうになる。

ベッドで眠っている娘の横に潜り込み抱きしめた。
あんなこと考えるなんて…こんなママでごめんなさい…
その夜は眠れなかった。
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