運命の恋~もしもあの時・・~
「実はショックな事があって、この前のお店でそれを知ったから覚えてないんです。美味しかったかどうか。味もわからないくらい頭が混乱してて…」

ただ、味を覚えてないことを伝えたいだけだったのについ有希との会話を思い出してしまい目が潤む。
稗田さんは優しい目でこちらを見ていた。

「それは残念だったね。お店はいつでも開いているからまた行けばいいよ。そっか、やっぱり何かあったんだね…田邉は関係してる?」

「いえ、今回のことは私の問題です。」

そっか、田邉さんが関わってると思って心配してくれてたんだ。

「すいません、田邉さんとは関係ないことなのにご飯にまで誘っていただいて。」

「いやいや、田邉が関係してなくても香織ちゃんが元気なかったら心配だよ。俺なんかで良ければ聞くし、話せないことなら聞かないし。とにかくご飯は大事だよ!美味しいものを食べると元気になるしね!」

稗田さんってきっと周りからも慕われてるんだろうな。
知り合って間もない私にまでこんな風に優しくしてくれるなんて。
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