運命の恋~もしもあの時・・~
お昼時なのでお客さんが多く食べ終わるとすぐにお店を出た。

「ごちそうさまでした。いつも払ってもらってばかりですいません。」

「そこはありがとうでいいよ。俺がカッコつけたいだけだから。」

もともと気軽に男性と二人で出かけるということが皆無だった私は稗田さんみたいな人に優しくされると反応に困る。
しかも照れて可愛いという年でもない。

「ありがとうございました。」

照れを隠すために深々と頭を下げる。

「ハハハッ香織ちゃんって面白いよね。まだ時間大丈夫なら少し寄り道しない?」

「私は予定がないので大丈夫ですけど…稗田さん社長さんでしょ?大丈夫なんですか?」

そもそも社長さんってどんな仕事するんだろう?
忙しいだろうに私に付き合ってくれるなんて申し訳ない。

「社長なんて名ばかりだよ。管理はするけど主にネットだからね。パソコンと電話さえあればだいたいのことがどこでもできるよ。それに海外との交渉になると時差があって夜中とかの方がよく働いてるよ」

よくわからないけど世界の違う人だ。
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