運命の恋~もしもあの時・・~
「元気ですよ。田邉さんは元気そうね。どうしたの?」

『この前先輩と会ったって聞いて。駅近くの〈みやこ〉。良かったら今日そこで一緒にお昼食べない?香織、あそこの唐揚げ好きだったよな!』

「残念、今日は友だちと会う約束してて無理かな。っていうか、私あそこで唐揚げ食べたことないけど?今月は娘も夏休みだからそんなに気軽には出られないのよ。」

『そっかぁ、世間は夏休みか…。俺も明日から忙しくなりそうで今日しかなかったんだよ。海外に買い付け交渉に行ってるやつからのSOSで先輩が今晩からベルギーに発つんだよ。いつ帰るかわからないから。困ったなぁ。会いたかったのに。』

田邉さんの言葉にどう返事していいか困る。
電話の向こうで稗田さんの声がする。
稗田さん海外に行くんだ…
忙しいだろうに迷惑かけて本当に申し訳ない。

「田邉さん仕事中じゃない?サボったらダメですよー!」

『サボってないよ!コーヒータイムに少し電話しただけで…旦那といる時間に電話はさすがにヤバいだろう?…へ?あ~……』

電話の向こうで稗田さんに何か言われてるっぽい。

「忙しそうなので切りますね~!」

『先輩が元気そうかって聞いてたけどなんかあった?』

「何もないよ!?じゃあ稗田さんにもよろしくお伝え下さい。私は元気ですよ~。失礼しまぁす。」
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