運命の恋~もしもあの時・・~
彼女の手は小刻みに震えていた。
顔色も決していいとは言えない。
俯いておりこちらを見ない…

「どうぞ、かけて。」

有希は私たちの向かいへ座るよう促す。

「失礼します。」

彼女は会釈をし、向かいにすわる。
とても可愛らしい彼女をみて生々しく実感する。気持ち悪い…

「まずは単刀直入に聞くわ。菊池さんと体の関係があったのよね?」

少し沈黙が流れる。

「は、はい。あり、ありました。」

そう答えると彼女は大粒の涙を流しはじめた。

「あなたがこの場で泣くのはお門違いよ。泣くなら帰って一人で泣いてちょうだい。話をするためにここにいるのよ。自分がどれだけのことをしたのかまずは実感してもらうために。」

こんな風に怒る有希を初めて見た。

「はい、申し訳ありませんでした。」

深々と頭を下げる。
限界だった…ご飯食べたばかりだったのもあり我慢できなかった。
私は何も言わずにトイレへ駆け込み昨日と同様、全て吐いてしまった…
私ってこんなに弱かったのかな?
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