運命の恋~もしもあの時・・~
10
娘が夏休みの間、2回ほど田邉さんからは電話があった。
でも田邉さんも本当に忙しそうであまり寝れないってぼやいていた。
元気か確認するとすぐに電話を切ってたのでまだ稗田さんも帰国していないのかどうかもわからなかった。

8月の最終日の午前中、ちょうど洗濯や掃除を終わらせ一息ついているときに田邉さんから電話があった。

『久しぶり!元気か?夏休みっていつおわる?』
電話を取ると元気な田邉さんの声がする。
何となく塞いでいた気分も少し明るくなる。

「お久しぶり。元気よ。もう夏休みは終わってるわよ。田邉さんは相変わらず忙しいんじゃない?」

『やった!実は今日と明日なら昼少し出られそうなんだけどどちらか予定あいてる?』

ランチのお誘いかな?
気分転換に行ってこようかな~!
田邉さんと話すのは不思議と気兼ねなく楽しいし。

「どちらでもいいよ!そういえばこの前言っていた〈みやこ〉の唐揚げ食べたよ。確かに私好みの唐揚げだった。」

『そうだろ~!香織はいつもあそこの唐揚げ食べたがっててたまに買って帰ってたんだ。じゃあ今日そこ行くか?12時半には行ける。』

そんなこと言われても…それは私じゃない。
でも私じゃない私の話を聞くのも慣れてきた。
「わかった。じゃあ12時半にそこで。」
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