目覚めたら契約花嫁
静まり返る。

警戒心剥き出しの私に向かって笑う男性。

怪し過ぎる。


「すみませんが、少しお話が。お時間を頂けますか?」

「いえ、無理です。もう帰らないと。」


当たり前だが断った。

一緒にいた女性達も不審な目を男性に向けていた。

そんな状況ですら、薄ら笑いを浮かべる男性に恐怖を感じる。

でも男性は一人。

大勢の女性から私を連れ出せる状況ではない。

でもーーーー


「レアードさん、昨日は一緒に?」

「ええ。」

「私も見たんですよ、レアードさんを夜中に。」


モヤモヤした心が呼び起こされる。

夜中に?

それって………。


「ここで話します?リンさん。」

「………。」

「リンさん。この人、絶対に怪しい。」


さっきまで会話を楽しんでいた女性の一人が呟く。

私も絶対に怪しいと思う。

だけど


「あー、私は記者ですよ。はい、これ。」


渡された名刺。

どうやらパパラッチのようだ。

パパラッチ?

ロイの?
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