目覚めたら契約花嫁
自然と繋がれた手。

ロイとホテルへ戻る途中、視界に入った人物をチラリと見た。


「リン?」

「えっ、何?」

「俺の話を聞いてた?」

「あー、うん。」


完全に上の空だ。

さっきの記者がホテル前に立っている。という事はエミリーがホテル内にいると予想できる。


「リン。」

「何?」

「本当に何かあったのか?俺の話を聞いてないだろ。」

「何もないよ。」

「リン。」


強く呼ばれてロイを見上げる。

完全に疑いの眼差しだ。

疑いたいのは私なのに………。


「今日、チャペルを見に行こう。」

「あー、今日?」

「嫌?」


私がずっと上の空だったから、ロイの口調が怒り気味だ。


チャペル?

こんな気持ちでチャペルを見学するの?


「リン、本当に何かあったのか?」
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