目覚めたら契約花嫁
プールは人気がなかった。

海に出掛けたのだろうか。

それほど人気がない。

部屋で着替えを済ませた私達はプールサイドを歩く。

ロイと繋いだ手がびくりと揺れたのを感じて顔を上げた。


「ロイ?」


真正面を見つめるロイの視線を辿れば、エミリーが立っていた。

貸切だったのだろうか?

だから人気がなかった?


「こんにちは、ロイ。朝ぶりね。」

「………エミリー。」

「隣の方が婚約者?綺麗な人ね。」


目が合う。

妖艶なエミリーの笑いに背筋がゾクっとした。

歓迎されてない?

突然、視線が遮られた。


「エミリーの貸切だったか?なら、またあとで来るよ。」


目の前に立つロイの声は低く、警戒しているのが伝わる。

私をエミリーから隠した?


「ロイなら歓迎よ。お互い寝不足で溺れないようにしないとね。」


意味深な言葉。


『お互い寝不足で………』


振り返るロイの目と合う。

ロイの瞳が動揺を表していた。
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