目覚めたら契約花嫁
逸らされた視線。

ロイの声のトーンが更に低くなった。

怒り………

伝わるのはロイの怒りだった。


「俺たちは帰る。邪魔して悪かった。」

「ロイ、怒らないで。それとも言ってなかったのかしら?婚約者の方に。」

「エミリー!」


怒鳴るロイを初めて見た。

それでもクスクスと笑うエミリーが怖いと思った。

声しか聞こえないが、2人の間は険悪に感じる。


「本当でしょ?記者にも知られてるし、すぐに記事にもなるわね、私達。」

「記者?」

「昨日の夜は楽しかったわね、ロイ。」


今すぐに逃げ出したい。

この場に居たくない。

今すぐに………


バシャ!


「リン!」


プールに飛び込んでしまった。

これ以上は聞きたくなかった。


バシャ!


「ロイ!」


エミリーの叫び声が響いた。

何でロイまで?

プカプカと浮かぶ私の前にロイが浮き上がってきた。

目の前のロイと視線を絡む。


「リン………、泣くなよ。」
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