目覚めたら契約花嫁
泣く?

私が?


「泣いてない。」

「ごめん、リン。」


その謝罪は何?

浮気したから?

ううん、復縁するから別れて欲しいって事?


「ロイは私と別れたいの?」


溢れ出した涙が頬を伝う。

でもプールに潜り、また顔を水面に上げた。

涙なんて見せたくない。


「リン、聞いて。」


優しく囁くロイの顔が歪んで見えない。

私の瞳には涙が溢れてるに違いない。


「ロイ!その女に言って!私と結婚するって!」

「煩い!黙れ!」


エミリーの叫び声がプールサイドから響いたが、ロイの怒鳴り声が上回っていた。


「エミリー!二度と俺に声を掛けるな!俺の過去?別にマスコミに晒して構わない!」

「ロイ!彼女に酷い男だって知られるわよ!もちろん、世間にも!」

「構わない!それで俺の会社が窮地に陥っても構わない!リン以上に大切なものはなんてない!」


怒鳴り合う2人の声が響き渡る。

ロイの会社が窮地に陥る?

どういう事?
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