目覚めたら契約花嫁
「交渉成立ですね、レアードさん、リンさん。」

「絶対、リンに触れるなよ。」

「もちろんです。」


ロイからエミリーに視線を向けた記者の雰囲気が一変した。

ロイとの会話では柔らかなフワフワした雰囲気だったが………

確実に黒い笑みを浮かべている。

エミリーが一歩後退った。


「今の話も録音済みです。もちろん、過去も調査済みです。」

「何で私を陥れようとするの?」


エミリーの声が震えている。

私は2人の動向を見守るしかなかった。

これで皆んなの未来が救えるなら………祈る想いだった。


「本当はエミリーの過去を暴露するつもりなどなかった。」

「だったら暴露なんて必要ないでしょ。」

「それはエミリー次第です。貴女が幸せになろうとしている2人の邪魔をしないと約束するなら考えます。」

「邪魔なんて………。私の方がロイに相応しい………。」

「リンだけだ。絶対にエミリーはない。」


強く断言するロイの声がエミリーの言葉を遮った。
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