目覚めたら契約花嫁
「お名前は?」


掛けられた言葉に勢いよく頭を上げた。

目の前には、60代くらいの綺麗な女性が立っていた。

品のある雰囲気が漂っている。


「凛です。」

「黒髪に………黒とヘーゼルのオッドアイ………?どちらの国の方なのかしら?」

「それは………。」


何て答えれば良いのか。つい吃ってしまう。

何かを察したのか、目の前の女性は大きく頷いている。


「訳ありなのね。まあ、いいわ。」

「すみません。」

「オーナーのミシェルよ。ちょうど店舗視察に来ていた所なの。タイミングが良かったわね、リンさん。」


付いて来て………というミシェルの後ろを歩く。

オフィスのような部屋に通され、ソファを勧められた私は腰掛けた。

それからはカフェの話、黒猫の話など、知らない間に随分と話し込んでしまっていたらしい。
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