目覚めたら契約花嫁

ミシェルが秘書室を離れた。

途端に突き刺さる視線。


「新人はコーヒーを淹れるのが常識よ。」

「はい、今すぐに。」


1週間前、突然やってきた私がCEOの秘書と紹介された。

その上にロイの婚約者だと知られ、注目度が確実に上がったのだ。

その中の一人であるシャーロットに敵視されている。


「あー、私が。リン、仕事を続けてて。」

「ありがとうございます。」


私を気に掛けてくれるのはボニーだ。

歳も近く、すぐに仲良くなれたのだ。


「ロイ様はどこが気に入ったのかしら？やっぱり珍しいから？私の方がお似合いなのに。」


あからさまに私がロイの婚約者だと言うことが気に入らないらしい。

シャーロットも裕福な家柄らしい。

つまりはお見合い候補の一人という可能性もある。


「やっぱりモテるんだ。」


小さな呟きが漏れた。