目覚めたら契約花嫁
ダヴィは用事があるからと部屋から出て行った。

久しぶりにロイと2人で話す気がする。


「ロイにはお礼を言えてなかったから。」

「お礼?」

「見ず知らずの私を助けてくれて、何不自由ない生活も送らせて貰って。その上、仕事も………本当にありがとう、ロイ。」

「契約だと言っただろ。」

「うん、でも感謝してる。ロイと出逢わなければ、私は幸せに過ごせていたか分からないから。」


私の本心だ。

『花嫁になれ』と言われた時は………『何で私が?』と思った。

でも今は感謝で溢れている。


「ロイ、本当にありがとう。」


私の感謝の言葉を現せば、ロイがフッと笑った。


「言葉だけじゃなく、態度で示してくれると嬉しいのだが?」

「態度?」


首を傾げた。


「婚約者らしく、キスでもしてくれ。」

「えっ?」


思いも寄らぬ言葉に絶句する。
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