目覚めたら契約花嫁
一度も恋人らしい行動も言葉も交わした事がなかったのに、突然の言葉に固まる。


「もしかして婚約者の意味を知らないのか?」

「意味?」

「ただ同居をして話すだけの関係ではない。」

「………。」

「自分の子供も欲しいし、このレアード家の跡取りも育てていく必要がある。」


ロイの言葉に耳を傾ける。

言っている事は間違ってはいない。

でも恋人として意識もしていないロイとの子供の話とか………気持ちが追いついていかない。


「リン、婚約者なのだから…キスぐらいしてくれると嬉しいのだが?」

「………。」


ロイのブルーの瞳を見つめる。

真剣な眼差しが私を射ている。


「リン。」


甘く囁くような声に心を決める。

ソファから立ち上がり、ロイの肩に手を伸ばして軽く唇を重ねた。
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